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紫外線について
紫外線とは?
太陽の光には、「赤外線」「可視光線」「紫外線」があり、そのうち「紫外線」が肌に悪い影響を与えます。紫外線のうち、波長が短いUV-Cは地表まで届きませんが、UV-Bはオゾン層に遮られつつもある程度は届き、波長の長いUV-Aはほぼダイレクトに地表に届いていいます。
紫外線が人に与える影響はいい面と悪い面があります。ただ個人差もありますし、住んでいる地域やライフスタイルにもよりますが、浴びすぎると健康に悪い影響を及ぼすことがあるので、正しい知識を身に着けて上手に付き合っていきましょう。
UVAとUVBでは性質が異なります。
(1)UV-A
波長が長いので、雲や霧、窓ガラスも通過してしますので、太陽が昇る朝から沈む夕方まで降り注いでいます。年中注意が必要です。
UV-A、UV-B共に夏(7〜8月)がピークですが、例えば梅雨の雲が多い時期はUV-Bが少ないのに対して、UV-Aは雲の影響をあまり受けないので、相当量降り注いでいます。また、早朝も夕方もUV-Bと比べて量が減りません。
(2)UV-B
UV-BはUV-Aより波長は短いので、オゾン層や雲などに、ある程度は遮られますが、強いエネルギーを持ってます。皮膚に火傷のようなような炎症(サイバーン)を引き起こしたりします。午前9時から午後3時までが多く、夏がピークになります。
また、UVBの性質として、1000m標高が上がる毎にUVBは10%〜12%増えます。日陰では約50%減、室内では約90%減です。UVBはUVAと異なり、ガラスはあまり通過しません。
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UV-Aはガラスも通過するし、朝夕も多いから、UV-Aの事を忘れていると、うっかり日焼けしそう。
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また、下のグラフをみるとわかるように、住んでいる地域(緯度の高さ)によって、年間の紫外線量が違います。沖縄と北海道では年間紫外線量が2倍程度の違いがあります。(図:紫外線環境保全マニュアル2015より抜粋)
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地方によって、北と南にはだいぶ差がありますね。でも、雪の照り返しには注意して下さい。
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紫外線の体への影響
では、紫外線は体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
体に良い点
(1)紫外線に当たることで、カルシウムの代謝に重要な役割を持つビタミンDを皮膚で合成する手助けをする。
ビタミンDが不足すると、骨がもろくなります。ビタミンDが多く含まれている食物は魚ときのこ類です。食事から取り入れることが基本ですが、皮膚から生成されるビタミンDは体で使われやすいという特徴があるので、やはり適度に紫外線を浴びて皮膚でビタミンDを作ることは大切なことです。
では、どのくらい日光に当たればいいの?の目安は日本の緯度から考えると、日本での平均目安は、両手の甲くらいの面積が 15 分間日光にあたる程度、または日陰で 30 分間くらい過ごす程度です。UV-Bはガラスを通しては通過しにくいので、屋内ではガラス越しでなく日光を当たることがポイントです。
北日本と南日本では、紫外線量に差があるので、調整して下さい。でも、両手の甲くらいの面積で15分でいいなら、すぐにクリアできそうですね。
(2)紫外線には、殺菌作用がある。
日光消毒と言われているものです。洗濯物や布団を日干しすると気持ちいいですよね。
(3)紫外線の免疫抑制力を利用した治療法がある。
例えば紫外線の免疫抑制力を利用して、ステロイドで治療が難しいアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬に対して「ナローバンドUVB療法」で害を少なくした紫外線を当てて症状を改善するのに役立っている。
体に悪い点
紫外線に当たりすぎると、細胞が傷つくことで、老化が進んだり、病気になることがあります。
(1)急性のもの
日焼け(サイタン、サイバーン)、紫外線角膜炎(雪目)、免疫機能低下
(2)慢性のもの(今までの浴びた紫外線の影響が蓄積されたもので、加齢によりリスク増)
皮膚:シワ、しみ、良性腫瘍、前がん症(日光角化症、悪性黒子)、皮膚ガン
目:白内障、翼状編
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肌だけでなく、目にも紫外線の浴びすぎはよくないのね。
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注意、サングラスの選び方
目に紫外線が良くない事がわかりました。帽子では約20%の紫外線が防げ、UV効果のあるサングラスでは90%防げるといわれています。しかし、レンズの色の濃さとUVカット機能は関係ありません。サングラスを買う時はUVカット率が表示されていているものでカット率が高いものを買いましょう。
現在では透明なレンズでもUVカット率が高いものも多く販売されています。逆に色の濃いレンズでUVカット機能がないものは、瞳孔を広げてしまいかえって、紫外線を多く取り込み影響を多く受けて目に悪いので、きちんと表示をみるか専門店で買うことをおすすめします。
また、コンタクトレンズにもUVカット機能が備わっているものもあり、効果がありますがレンズが覆われているのみのカットになりますので、白目の部分はもれがあります。気になる方は、特に日中の屋外で長い間過ごす方はコンタクトレンズとサングラス、帽子などでしっかり防ぎましょう。
紫外線は肌にどのような影響をもたらすの?
シミのサイトなので、紫外線の肌への影響を詳しく見てみましょう。
UV-AとUV-Bには肌に与える影響が異なっています。
(1)UV-Aの肌への影響
波長が長いので皮膚の奥の真皮まで届きます。雲や霧、窓ガラスも通過してしますので、太陽が昇る朝から沈む夕方まで降り注いでいます。皮膚の真皮まで届き、ハリや弾力を生み出す繊維芽細胞を傷つけてしまうため、光老化(シミ、シワ、たるみ)や肌の黒化(サンタン)を引き起こします。
このようにエイジングケアにはUV-Aも影響しているので、曇りだからとか、冬だからとか、夕方だからとか関係なく、年中ケアしなければなりません。
(2)UV-B
UV-BはUV-Aより波長は短く、肌の表皮までしか届きませんが、強いエネルギーを持つので、火傷のようなような炎症(サイバーン)を伴う日焼けを引き起こしたり、その後、体質にもより度合いはちがいますが、炎症(サイバーン)から肌の黒化(サイタン)の移行を引き起こします。また、シミやそばかすの原因になります。
更に、UV-Bは皮膚細胞のDNAを傷つけ、遺伝子情報を傷つけるので、これを繰り返すと十分な修復が出来ず、誤った遺伝子情報が伝わり、皮膚がんになる原因のひとつと考えられています。
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日中、海や屋外で日焼して赤くなったりするのは、UV-Bの仕業ね。
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補足ですが、特に色白で炎症(サイバーン)を起こしても、黒化(サイタン)に移行しにくい人は、紫外線の影響を受けやすいので、特に紫外線対策に気をつけましょう。一般に、そのような体質の中でも、女性より男性、年齢では高齢者の方が紫外線に弱いです。
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色白のおじいさんは特に注意なのね。
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その他にも、紫外線は地面やビルの壁などで反射します。ですので、日傘だけでは、下からも、横から向かってくる紫外線を防ぐことはできません。
また、芝生よりもコンクリートやアスファルトの方が反射率が高く、世界的にみても緑地のアスファルト化が進んでいるため、大気中の水蒸気量が減少して、太陽光の通過率が上がっており、紫外線が増える傾向にあると、WHOが定めたUVケアにおける世界共通の指標で発表されています。
まとめ
紫外線についてシミケアの観点からまとめると
(1)紫外線はUV-AとUV-Bがある。早朝や曇りの日とか関係なく、UV-Aは太陽が昇って沈むまで注意が必要。(紫外線のピークはUV-A,UV-Bどちらとも夏の正午がピーク)→年中、UVケアが必要
(2)UV-Aはガラスも通過するので、室内でも窓があればUVケアが必要
(3)住んでいる地域の緯度や標高などで、紫外線量は異なる。
(4)紫外線量が少しずつ増加傾向にある→昔よりもUVケアが必要。
(5)一般的にUV-Bは、皮膚を炎症させて赤くしたら、皮膚がんなど怖い病気を引き起こすので、UV-Bが大きく取り上げられがち。しかし、UV-Aは光老化(シミ、しわ、たるみ)を引き起こすので、美容の面ではUV-Aも防ぐ必要がある。→UV-A、UV-B両方とも防がなければならないので日焼け止めの表示をよくみてライフスタイルに合わせて買いましょう。
(6)日本では平均して、両手の甲の面積で15分くらい日光にあたるか、30分くらい日陰で過ごすくらいの日光はビタミンDの合成のために役立つ。→少しは日光に当たった方がいい。
いかがでしたか?その2では日焼止めの選び方などをお伝えしたいと思います。
〈参考文献〉紫外線環境保全マニュアル2015
『資生堂 本気の美容事典 スキンケア&メーク』(資生堂ビューティークリエーション研究センター監修 資生堂ビューティートップスペシャリスト西島 悦ほか)